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人はわがままになる。
嫌われたくない、から始まって。
友達になりたい。
…好きになって欲しい、と。
あれから、どれくらい願いは叶ったのだろう。
4月4日に間に合うように、芹香先輩に手紙を出した。
4月4日。
芹香先輩の誕生日だ。
本当は、誕生日プレゼントだけを贈ろうかとも思ったけれど、
芹香先輩の生まれた日は、わたしにとっても特別な日になるから。
だから、日頃の感謝と想いを伝えておきたくて。この機会に。
ただ、それを知ってくれていればいいと。
そんな風に思って出した手紙だけれど、
芹香先輩は返事をくれた。
* * * * *
烏兎沼華呼様
誕生日のお祝い、どうもありがとう。
…それと、心の篭った手紙も。
嬉しかったわ。
私は、あまり想いを言葉にするのが得意ではないから、うまく言えないかもしれないけれど。
私も、華さんに出会えて良かったわ。
感謝しているの。とても。
…あの時華さんに出会わなかったなら、雨隠れ邸に入る事もなくて。
鳴鐘くんや細雪さん、リゼさん、宮之原くん…みんなと出会うこともなく。
そして何より華さんという存在がなかったなら。
私は、多分、以前と変わることのないままの自分でいたと思うから。
人とあまり積極的に接する事のなかった私が、今のように大切に思える人をこんなにも作ることが出来たのは、華さんが、いたから。
…こんな私でも、純粋に慕ってくれて。
力になりたい、応援したいと思った。自分から、人と関ろうと思った。
きっかけとしては小さなものだったかもしれないけれど。
私にとっては、大きな変化だったから。
ありがとう、華さん。
私と、一緒にいてくれて。
華さんに感謝してもらえるほど、私が何かを出来ているとは、やっぱり思えないのだけれど。
華さんにはもう十分すぎるほど、助けられているわ。
華さんに守られて嫌、という感情はないわ、ね。
でも嬉しいと言うよりも…そうね。
上手く、言えないけれど。
そこにいてくれることが、そのまま力になる、というか。
守る事も、守られる事も、当たり前…というと言葉が悪いかもしれないけれど。
華さんなら、安心して、背中を任せられるから。
…これからもよろしく、ね。
今まで誕生日に特別な意味を見出した事は無かったけれど。
この日、この世に生まれて来た事で、華さんや皆に会えたのだから。
…今は、この日がとても嬉しくて、この世に生まれた事を、そして皆に出会えたことを、感謝できるわ。
本当に、どうもありがとう。
紗夜宮芹香
* * * * *
それは、とてつもなく優しく、
こんなわたしには過ぎた言葉の数々。
でも、どうしようなく嬉しくて。
「えへへー」
小さく笑いながら、無意識に目元をぬぐう。
家を出る時、兄が言った。
大切なものはたくさん作っていいと。
だから、わたしは少しずつ世界を広げていった。
大切な人のたくさんいる世界。
わたしは手紙を大切に封筒に戻すと、いつでも取り出せるように、
でも、決して失くさないように、机の一番上の引き出しの奥にしまった。
それは、人から見れば一通の薄い手紙だけれど。
わたしにとっては、これからも生きていく勇気をくれるとても重みのある一通。
今日、この日に。
芹香先輩が生まれて、わたしに出会ってくれたことに感謝して。
お誕生日、おめでとうございます。
(わたしが芹香先輩にどんな言葉を送ったのか。芹香先輩の所に行くとこっそり教えてもらえるかもしれません)
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