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月夜の兎庭園
トミーウォーカーのPBW「シルバーレイン」で遊ぶ一七夜月氷辻・烏兎沼華呼の雑記です。 各内容は、カテゴリーで判断してください。
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華呼


「花持たぬ頃」


 昔…というほどの歳でもないけれど。

 今の自分からしてみたら、『昔の自分』を思い出す。
 中学生の頃、ふいに男の子が優しくなった時期があった。
 その頃の自分の内面にそう変化があったとは思えないが。外見は多分、手足が伸びて、顔立ちが少し大人びたのかもしれない。
 そんな男の子たちに好きだと言われたことが、何度かあった。
 わたしはそれを、箱を右から左にうつすかのように。流れ作業のように、断っていった。
 ごめんなさい。今は誰とも付き合う気がありません。
 マニュアルが存在しているかのように、いつも同じ言葉。
 彼らが言うその言葉は、
 勘違いと、誤解と、思い込みからきているものと、わたしは決め付けていたのだ。
 それに…
 ……彼らが好きだというわたしを、わたしは全然好きではなかった。

  ●

 目を覚ます。
 目覚まし時計が鳴った記憶は、ない。
 腕を持ち上げて、腕時計を見た。夜中に目が覚めてもすぐ時間が気になるので、腕時計はいつもしたまま寝ているのだ。
 目覚ましが鳴る、1時間程前。
 …いいや、起きちゃえ。
 華呼は勢いよくベッドから起き上がる。着替えて、本でも読んでいよう。それとも、いつもより早く出て、散歩でもして行こうか。
 着替えながら、無意識に息をつく。
 ここ数日、何をしていても頭の中にある懸念事項。いつも意識がそこにいく。
 どうしよう。
 それを思うたびに、もうその言葉を胸中で何百回と繰り返した。
 芹香先輩や蒼刃くんにも相談した。でも、最終的には自分で結論を出すしかないことは分かっている。
 ふと昔を、思い出す。
 昔といっても、ほんの1、2年前の話だ。でも、あの頃から意識の変わった自分からすれば、恐ろしく昔に感じる。
 あの、箱を右から左へ移す流れ作業。
 今思えばあれは、一種の逃げだったのではないかと思う。
 その、真摯な気持ちに向き合うのが怖くて。自分に向けられるその感情が怖くて。理由をつけて避けたのではないだろうか。
 人の心を思いやれなかった時代。
 華呼は沈痛に目を閉じた。昔の自分は、今の自分を時々傷つける。
 悪いこと、したな。
 今ではそう思う。あのようなことは、今となってはもう出来ないだろう。
 あの頃は、自分のことが好きでなかった。
 だから、大事に出来なかった。
 自分も、それにかかわる人も。
 では、今は?
 ……今の自分は、少しでも好きでいられているのだろうか。
 少なくとも、今の自分にかかわってくれている人達のことは、大好きだと言えるが。
 言えるのだが。
 息をつく。
 鏡を覗いて、髪を直す。
 その中の表情は、ひどく弱気な顔をしていた。
 ぐっと目に力を込めて、表情を引き締める。
 …だって、逃げませんからねっ。
 そう自分に言い聞かせて。
 少なくとも、今の自分が好きな人たちとは、まっすぐ向き合えるように。
 そういう自分を、少しでも、好きになれるように。

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プロフィール
HN:
一七夜月氷辻・烏兎沼華呼
性別:
非公開
自己紹介:
 ここで使われているイラストは、株式会社トミーウォーカーの運営する『シルバーレイン』の世界観を元に、株式会社トミーウォーカーによって作成されたものです。 イラストの使用権は作品を発注したお客様に、著作権はイラストを描かれた絵師に、全ての権利は株式会社トミーウォーカーが所有します。
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